こんにちは、エイト設計建築部です😊
前回に引き続き、今回も小樽の建築物である「日本銀行旧小樽支店金融資料館」についてお話したいと思います。
北海道の港町である小樽は、かつては日本有数の貿易拠点で「北のウォール街」と称されるほど金融機関が林立した時代がありました。資料館はその象徴的な存在として色内地区の街並みに今も威容を保っている建物です。

建築様式はルネサンス調の古典主義(古代ギリシャ・ローマ文化を模範にしてその秩序、調和、理性を再評価し厳格なルールに従った作品を作ろうとする芸術スタイル)を基調とし、2階建てのレンガ造りに外壁のモルタル塗りは石積み風の重圧な質感を表現しています。
屋根の小屋組みは鉄骨構造で広い空間を確保し、営業フロアの開放感を高めています。
また、北側ファサードには4つのドームがバランス良く配置されています。
南東角には4階建ての望楼が設けられ、小樽港の眺めを堪能できるスペースとなっています(現在は見学不可)。
内部に入ると営業フロアの吹き抜け空間があり、ロビーの床・壁・カウンターには大理石は贅沢に使われ壁にはアイヌの守り神を象徴するフクロウの塑像が飾られていました。
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見どころである展示は3つのゾーンに分かれ、金融の世界を分かりやすく感じさせる工夫が満載でした!
①歴史展示ゾーン
日本銀行の創設から現在までの歩みを、柱状パネルを用いて実体験できるように説明しています。
その中でも、第二次世界大戦後から発行された日本銀行券の実物が並ぶ「お札ギャラリー」では紙幣のデザイン変遷を視覚的に理解できるようになっています。
②業務展示ゾーン
お札発行のプロセスが中心で、日本唯一の通貨発行権を持つ中央銀行としての特性、並びにニセ札防止のための技術やお札の一生も図解しています。
③体験展示ゾーン
最大の見どころは、金庫室内で「1億円を持ち上げてみよう」のコーナー😊模擬紙幣を詰めた1億円のバッグ(約10kg)で重みを体験することができます。
※日本銀行券の表裏に印刷されているアカンサスの葉(成長と再生のシンボル)の模様は、古代ギリシャ起源の古典的なデザインです。この模様が使われている理由は、紙幣に権威と美しさを添える装飾効果に加え、複雑な形状が偽造を難しくする点にあるようです。また、植物の強い生命力を象徴し、伝統的な価値を表す役割も果たしているようです。
この資料館は小樽の繁栄を象徴する建築美と現代の金融教育(日本銀行の歴史や業務、金融の仕組み等)を融合させた空間だと感じました。
ぜひ小樽を訪れた際は小樽観光の至宝(個人の感想です🤭)を堪能してみてください!
